2013年7月15日、南モンゴル東部・通遼市ジャロード(扎鲁特)旗ハンオール営林場(罕山林場)周辺の牧畜地帯から強制的に移住させられたモンゴル牧民が通遼駅で逮捕された。牧民らが当局の強制移住と移住計画の杜撰さに抗議するため北京へ出発しようとしていた時、100人近い警官により拘束されたのである。
南モンゴル人権情報センター(SMHRIC)が同事件について入手した最新情報によると、牧民は38人でそのほとんどが女性、ハンオールの牧民コミュニティの代表だった。彼女らの列車の切符・携帯電話・その他所有物は警官によって拘束前に没収されている。
「牧民たちは現在も通遼市警察署勾留センターに拘束されたままです」と、強制的に移住を強いられた牧民(匿名)は拘束された牧民らの現状について答えている。「彼女たちは家族の面会も許されていません」。
私たちが法的な説明を求めると、警官は「牧民には教育が必要だ。勾留センターで教育を受けることになるだろう」と答えたと、その牧民は付け加えた。
米国が拠点の“Mongolian
News”(http://mongoliinmedee1.blogspot.com)に投稿された当コミュニティ出身の牧民の署名入りの手紙(3月18日付)によると、ハンオールの約183戸の牧家は2008年9月、ジャロード旗鲁北に強制的に移住させられた。当局の説明は「当該地域を『自然保護区』にする国家プロジェクトのため」ということであった。
その手紙は、「雇用の機会を供給し、十分な住居、その他優遇措置を講じる」という当局の約束が果たされていないと訴えている。
「私たちは快適な住居を出て、鲁北に移住させられました。ところが、私たちには移住先が誰の所有であるかについても知らされていないのです。私たちは慣れない都会でどのように生計を立てていけばいいのでしょうか」。牧民たちは、与えられた住居の所有者が不明で、建物の質も劣悪であると訴えている。
移住させられた牧民たちは、当局が利益誘導のために牧民に土地を明け渡させ、「開発」や「国家プロジェクト」の名の下に鉱山業者や観光業者を呼び込んでいることを危惧している。
「旗政府は、私たちが移住した後、ハンオール地域を農業・放牧・干草・非合法事業を厳しく禁ずる「無人の地」にすると約束しました。ところが現在、複数の鉱山業者がすでに営林場に入っており、無節操に鉱山開発を進めているのです」と、「自然保護地区」という当局の説明に対する疑問を訴えている。「このような場所をどうして「自然保護地区」と呼べるでしょうか」。
「このことは、当局が私たちモンゴル人をいかに先祖伝来の土地から追い出し、永久に漢人によって占領させようとしているかということなのです」と上記の牧民がSMHRICに語った。
牧民の訴えには十分根拠があるようだ。2010年11月11日、中国国土資源部(省)はウェブサイトに「ジャロード旗ハンオール林区鉱物探査プロジェクトが2010年度の重要案件21件のひとつにリストアップされた」と発表した。通遼市党当局は「2011年末までに鉱山開発をスタートさせることを考慮し、探査のスピードを上げ、詳しい探査を可能な限り迅速に終わらせる」と公表しているからである。
(原文)http://www.smhric.org/news_490.htm
ジャロード(扎鲁特
)旗ハンオール地帯モンゴル牧民の没収された牧草地(weibo/u/2112279894@珊丹娜娜の写真) |
ジャロード(扎鲁特)旗政府所在地鲁北の郊外に強制的に移住させられた牧民たちための住宅 |
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